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FPが実際にNISA口座を使ってみた(1)―そこから見えたもの(阿部重利)

2014-04-22

当初の作戦

 今年の1月から「NISA(ニーサ)〔=少額投資非課税制度〕」がスタートしました。もはや、NISAが「株や投資信託などの運用益や配当金を一定額非課税にする制度」だということは周知でしょう。NISA口座で取引をすると、税金面で大きなメリットが受けられるといいます。

 そこで、FPである筆者のNISA口座体験と、そこからみえてきたもの、感じたものについてお話したいと思います。筆者、昨年の時点でNISA口座を利用するにあたり、まずどのような金融商品の購入を考えていたかというと・・やはり、「売却すると非課税枠の再利用ができない」という特徴を考慮し、比較的高配当が望め、長期間保有するような個別株式をイメージしていました。

さあ購入!

 さて、年が明けて、いざ「何を買おうか?」という段階で、「ちょっと待てよ!」といった声が自分の頭中をよぎります。「いくら『非課税』といっても、例えば予想配当利回り4%のものを100万円分(非課税投資枠が毎年100万円までのため)買ったとして、その20%が非課税。つまり、年間8,000円・・」

 もちろん、この8,000円分の非課税は大きいと思いますが、あくまで個人的にはこう思ったんです。「どうせ非課税にしてくれるんだったら、配当金の20%分非課税だけではもったいない! 大幅な値上がり益分を非課税にしてもらったほうがいい!!」と。

戦略変更

 そこで、戦略変更です。5年間程保有して大幅に値上がりが期待できそうな銘柄のリストアップ。浮かび上がってきたのは、なんと今期無配で当面配当は期待できそうもない銘柄でした。

 理由は、今は利益もあがっていない(だから無配なのでしょうけど)が、将来性は高いので、そこで大きな値上がりが期待できると考えたからです。

 まずは手始めに、1月24日に100株、約13万円分を購入。その後ウクライナ情勢などを受けてマーケット全体も下落基調となります。最初の購入を「早まったな」と思いながらも、もう100株を約9.5万円分でナンピン。同様に別の銘柄(こちらは今のところ有配ですが、基本的には大幅値上がり期待の思惑)も購入し、NISA口座で計約70万円投資しました。

 正直、4月15日現在、筆者のNISA口座買い余力額は約30万円になっています。現時点では、今後の下振れ局面も想定し、残りの30万円分は買い下がりスタンスを取ろうと考えています。この戦略の結果は、神のみぞ知る!といったところでしょうか?(勿論、自分で考えた戦略故、結果がうまく行かなくても自己責任なのは言うまでもありませんが)と、ここまでやってきたわけですが・・

実際にやってみて思うこと

 これまで実際にNISA口座を使ってみて、今後の戦略方向について思うことがあります。それは、「NISAは意外と難しい、戦略やポリシーをしっかり持って対応しないとかえってデメリットになる」ということです。

 なぜ、「難しい」のかは、利用者にとって、「売却すると非課税枠の再利用ができない」ということが、無意識のうちに影響しているのではないかと考えています。つまり、「売却することによって、せっかくの非課税枠を放棄してしまう」といった心理的抵抗感が働いているように思うのです。

 よって、あくまで筆者の個人的ストラテジーとしては、「個別株式でキャピタル非課税を狙う場合には、『5年間持たなければいけない』という発想を取り払い、個別の業績状況やマーケット環境によってフレキシブルに動く」ということです。当たり前のことですが、株式の場合5年後が一番高値という保証はどこにもありません。

 例えば100万円分買って、半年後に株価が2倍になったとします。そこで売ったら値上がりの20%が非課税で100万円の利益ですが、売らないで5年後の価格が半値になっていたら、元も子もないどころか、特定口座の利益と損益通算もできないという、まさに意味のないものになりまねません。よって、「フレキシブルに考える」となるわけですが・・・

 しかしながら、よくよく世間を見渡してみると、筆者のように「個別の業績状況やマーケット環境によってフレキシブルに動く」といった戦略がおっくう、あるいは、価格の上下に一喜一憂などしていられない!といった方も大勢いると思います。

 その場合には、「基本的に価格のブレが少ない(価格変動によって一喜一憂するようなものではない)、債券運用型の投資信託(勿論、リスクはありますが)などを5年持つつもりで購入するのも一手」かもしれません。

 つまりNISA元年の今年、筆者がこれまで実際にやってみて、個人的に思うことは、「非課税というメリットを何でどのように受けるか?」「中途半端な意思決定ではなく、フレキシブルにやるか? 比較的安定的なものを長期保有するか?」など、しっかりとした戦略を持ってやる必要があるのでは!?ということです。

阿部 重利

【あべ しげとし】

経済産業省認定 経営革新等支援機関 ヒューマネコンサルティング株式会社
代表取締役

保有資格:
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、CFP(R)、金融知力普及協会認定金融知力インストラクタ−、DCアドバイザー、年金・退職金総合アドバイザー、心理カウンセラー、ワークライフバランスコンサルタント

金融機関での実務経験を生かし、経営顧問・コンサルティング活動の傍ら、全国各地で講演会をはじめ、年約150本の企業研修、講演会、セミナー、などを精力的にこなしている。そのパワフルでユーモア感のある語り口と説得力は各方面から好評を得ており、これまでコンサルティングや研修、講演を受けた企業人の知識やモチベーション・スキルアップに大きく貢献している。
著作に、『実践 ワーク・ライフ・ハピネス2〜成功する会社は仕事が楽しい〜』(万来舎)、『働き方が変わる!会社が変わる! 実践ワーク・ライフ・ハピネス』(万来舎)、『コモディティ投資入門』(アスペクト社)、ほか、『フィナンシャル・アドバイザー』誌(近代セールス社)、『ファイナンシャル・プラン』誌(きんざい)等多数。

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