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トランプ減税の規模と実施について考えてみる(阿部重利)

2017-02-03

 2017年1月20日にドナルド・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領が誕生しました。就任後も、氏のいろいろな発言や大統領令などをめぐって、毎日めまぐるしい報道やニューズが飛び込んで来ます。トランプ氏は選挙中にも数々の公約を挙げていましたが、筆者はその中でも特に【大型減税の実施】について、非常に注目しています。

 よって、この度は、【トランプ大統領による減税実施】とブッシュ大統領時に行われた減税について比較検討することで、その実施の可能性や規模などについて考えてみたいと思います。

ブッシュ減税とは?

 2000年の大統領選挙に勝利したブッシュ大統領は、就任直後から「減税」を財政政策の最優先課題とし,2001年4月に、「2002年度からの10年間で1兆6,120億ドル規模の減税案」を提示しました。

 その主な内容は、

  • (1)所得税率の引き下げ(減税規模5,010億ドル)
  • (2)10%の最低税率を創設することによる減税(同3,110億ドル)
  • (3)相続税の段階的廃止(同2,610億ドル)
  • (4)子供扶養減税の拡大(同1,930億ドル)
  • (5)夫婦合算課税の軽減(同1,130億ドル)

といったものです。

 最終的には、原案よりはいささか縮小したものの、約1兆3,500億ドルという【大型減税】が成立しました。

トランプ減税について

 それでは、トランプ氏の掲げる減税案はどんなものでしょうか?

  • (1)法人税減税(税率を35%から15%に引き下げ)
  • (2)個人所得税の減税(現行の7段階の累進税率を12%、25%、33%に引き下げ、最高税率は現行の39.6%から33%に引き下げ)
  • (3)キャピタルゲイン並びに配当に対する減税延長(現行の0%、15%、20%の税率を維持
  • (4)相続税の撤廃

などになるようです。

 そして、驚くべきは、その「規模」ですが、一説によると、10年間で4兆ドルから5.5兆ドルとも言われます。この金額は、仮に10年間の減税規模を5兆ドルで毎年均等に実施されるとして(2015年の米国名目GDP約18兆ドル想定で)GDPの約2.8%にも及ぶものになります。

 現時点では、その規模や形態、実施時期などは不確実ですが、もしこの規模で実施されたら、超大型と言われた先のブッシュ減税と比較しても間違いなく「空前の規模」になることは明白です。

 この超々大型減税が実施されたら、景気拡大、インフレ懸念、長期金利上昇、日米金利格差拡大、ドル高、ゆくゆくはバブル発生などがささやかれる一方、国債発行額増加、連邦財政赤字の拡大、など様々なシナリオが浮上してくると思います。

 いずれにしても(規模の問題は別として)減税に関しては、「小さな政府」を標榜する共和党にとって代々の看板政策的とも思われますので、何らかの形でインパクトあるものになるのではないでしょうか?注意深く見守りたいと思います。

阿部 重利

【あべ しげとし】

経済産業省認定 経営革新等支援機関 ヒューマネコンサルティング株式会社
代表取締役

保有資格:
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、CFP(R)、金融知力普及協会認定金融知力インストラクタ−、DCアドバイザー、年金・退職金総合アドバイザー、心理カウンセラー、ワークライフバランスコンサルタント

金融機関での実務経験を生かし、経営顧問・コンサルティング活動の傍ら、全国各地で講演会をはじめ、年約150本の企業研修、講演会、セミナー、などを精力的にこなしている。そのパワフルでユーモア感のある語り口と説得力は各方面から好評を得ており、これまでコンサルティングや研修、講演を受けた企業人の知識やモチベーション・スキルアップに大きく貢献している。
著作に、『実践 ワーク・ライフ・ハピネス2〜成功する会社は仕事が楽しい〜』(万来舎)、『働き方が変わる!会社が変わる! 実践ワーク・ライフ・ハピネス』(万来舎)、『コモディティ投資入門』(アスペクト社)、ほか、『フィナンシャル・アドバイザー』誌(近代セールス社)、『ファイナンシャル・プラン』誌(きんざい)等多数。

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