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地方銀行の次の打ち手(阿部重利)

2017-08-25

地方銀行の経営環境

 前回のコラムで紹介した新刊「“危機感”のない人にチャンスは来ない!」の中でも「地方銀行」の経営環境の厳しさについて言及していますが、昨今のニュースを見聞きしてもやはりその流れは続いています。

 先ごろ発表された「上場地方銀行82行の17年4〜6月期の連結純利益」の合計額は前年同期比25%減の3,034億円で半数以上が減益となった模様です。日本銀行の金融緩和政策による金利低下の影響を受けて、地方銀行の貸出金利は低下傾向を強めています。(これは地方銀行に限ったことではないですが)

 特に地方銀行では、地域に密着している金融機関同士の金利競争が激しいことから、都市銀行などよりも貸出金利の低下幅が大きくなる傾向があるようです。

 金融緩和による金利低下の影響は、貸出金利だけでなく預金金利の引き下げにもつながり、調達コストの削減に寄与するといった側面もあります。 しかしながら、貸出金利は預金金利よりも概ね早いペースで低下してきたため、預貸金利ザヤ(=貸出金利−預金金利)の縮小が続いており収益を圧迫しているのでしょう。

少子高齢化・人口減少も追い打ち!?

 またこれも上記「新刊」で指摘していることですが「少子・高齢化」「人口減少」問題も深刻です。金融庁の「平成27 事務年度 金融レポート」によりますと、高齢化・人口減少が進展することにより、(1)貸出金・預金ともに減少する、(2)預金よりも貸出金の残高減少幅が大きくなり(預貸ギャップが拡大)、(3)それに伴い預貸金利ザヤが縮小する、という試算結果が示されています。

 要は、地方銀行の場合、都会部に拠点を置く金融機関と比べて、「少子・高齢化」「人口減少」問題が深刻であるにもかかわらず、上記もした通り「競合が非常に多く競争が激化しやすい」環境にあると言えます。

次の打ち手は?

 では、預貸金利ザヤに頼らず、投資信託やその他金融商品の販売による「手数料収入」で補えばよいのでは?!といった声も聞こえてきそうですが。これも言うだけなら容易いのですが、実際に行うには相当高い「壁」があるようです。同時期のこれら手数料収入の変化をみても、2.5%と微増にとどまっています。

 「壁」の理由はいくつか考えられますが、筆者が地方金融機関に研修で伺って感じることと言えば、

  • (1)これまでの文化で預貯金への依存体質が抜けない
  • (2)インフレ、デフレといった環境の変化に無関心
  • (3)そもそも金融機関側が「リスク」の概念を理解していない。リスク低減方法の概念がない。
  • (4)商品ありきの体質が強いので、マーケット環境や個人属性の把握が足りない
  • (5)顧客を全包囲網的に囲い込めていない。
  • (6)相続・事業承継等の相談に乗り切れていない。

などがあると思います。

 もちろんこれらの「壁」をきれいに払しょくしている金融機関もあると思いますので、一概には言えませんが、大方このような壁をぶち壊して次のステージ、次の打ち手を目指して頂きたいと考えています。

阿部 重利

【あべ しげとし】

経済産業省認定 経営革新等支援機関 ヒューマネコンサルティング株式会社
代表取締役

保有資格:
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、CFP(R)、金融知力普及協会認定金融知力インストラクタ−、DCアドバイザー、年金・退職金総合アドバイザー、心理カウンセラー、ワークライフバランスコンサルタント

金融機関での実務経験を生かし、経営顧問・コンサルティング活動の傍ら、全国各地で講演会をはじめ、年約150本の企業研修、講演会、セミナー、などを精力的にこなしている。そのパワフルでユーモア感のある語り口と説得力は各方面から好評を得ており、これまでコンサルティングや研修、講演を受けた企業人の知識やモチベーション・スキルアップに大きく貢献している。
著作に、『危機感≠フない人にチャンスは来ない!―トランプ大統領周辺ニュースにも今更驚かない! 目からウロコの経営・資産運用発想法』(セルバ出版)、『実践 ワーク・ライフ・ハピネス2〜成功する会社は仕事が楽しい〜』(万来舎)、『働き方が変わる!会社が変わる! 実践ワーク・ライフ・ハピネス』(万来舎)、『コモディティ投資入門』(アスペクト社)、ほか、『フィナンシャル・アドバイザー』誌(近代セールス社)、『ファイナンシャル・プラン』誌(きんざい)等多数。

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