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iDeCoのメリットは気を付けないとデメリットになる(犬山忠宏)

2018-09-14

所得控除による税額の軽減

 iDeCoのメリットの一つに「掛金が全額所得控除の対象となり税額の軽減が受けられる」ということがあります。確かに課税所得が生じている方であれば所得税では課税所得の金額に応じて掛金の5%〜45%、住民税では10%の税額が軽減される効果があります。NISAにはないメリットであり、この税額軽減効果は確実な運用益に匹敵する大きなメリットであることは間違いありません。

 しかし、このメリットは気を付けていないとデメリットになることがあります。所得控除を受けて軽減された所得税は会社員(年収2,000万円以下)ならば年末調整で還付され、自営業者の方ならば確定申告で納付すべき税額が減ります。また、住民税は翌年6月以降に給与から控除される、または自分で納付する税額がその分軽減されることになります。しかし、これらの軽減額はiDeCoの口座に振り込まれるわけではありません。預金口座にその軽減額ズバリの額が振り込まれるわけでもなく、家計を営む預金口座の入出金を通じてその軽減額が反映されることになります。したがって、この軽減額は意識して別途貯蓄に回さないと家計に埋もれてしまうことになります。税金が減った分使えるお金が増えますので貯蓄に回さないと何となく支出が増えてしまいます。これが60歳まで続くと貯蓄が増えるどころか支出の多い生活習慣に慣れてしまい、60歳以降生活を引き締めるのに苦労するかもしれません。

受け取り時の税制優遇

 iDeCoのもう一つのメリットとして受け取り時の税制優遇があります。iDeCoは原則として60歳以降70歳までの間に受け取りを開始し、年金または一時金(もしくはそれらの併用)として受け取ることができます。年金として受け取る場合には所得の金額の計算上「公的年金等控除額」が、一時金として受け取る場合には「退職所得控除額」が差し引かれ、一時金の場合にはさらに1/2を掛けた金額が他の所得と合算されずに課税の対象となる金額になります。

 確かに国民年金だけで、また、退職金がない自営業の方はこの税制優遇によって税金は比較的少なくなります。しかし、会社員で厚生年金や企業年金がある方や退職金がある方は、これらの金額やiDeCoの金額などによってはかなり税金が発生する場合があります。これは年金で受け取る場合には厚生年金や企業年金などの他の公的年金等と、一時金で受け取る場合には原則として退職金と合算して所得の金額が計算されるためです。特に年金で受け取る場合条件によってはiDeCoの受け取り額の全額が課税の対象となる場合もありますし、さらに所得金額として健康保険料や介護保険料の算定の基礎となる金額になる場合もあります。受け取り時にはすべて税制優遇があるということではないので受け取り方の選択には注意する必要があります。

犬山 忠宏

【いぬやま ただひろ】

1959年生まれ。神奈川県藤沢市出身。犬山忠宏税理士事務所/FPオフィスp.1代表。機械メーカーを早期退職後税理士・FPとして独立。税務だけでなく企業の経理から個人の家計管理、資産運用まで幅広くトータルなアドバイスを行っている。

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