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年金暮らし 税金よりも社会保険料の負担が大きい(犬山忠宏)

2018-10-12

税金の負担

 50代になると年金定期便などで老後の年金の受取額に関心を持たれる方も多いと思います。しかし、その受取額は手取り額ではありません。受取額は大体わかってもその年金収入にかかる税金や社会保険料がいくらくらいなのか知っている方は少ないのではないでしょうか。自分の場合これらの負担額がいくらくらいか知っておくことは老後のライフプランを考える上で重要であると思います。

 まず税金の負担がどのくらいになるか見てみましょう。厚生労働省年金局の「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によりますと平成28年度の厚生年金の受給額(月額)の平均は男性が166,863円、女性が102,708円となっています。ここでは仮に夫が年200万円、妻が年120万円で、どちらも65歳以上の場合とします。まず所得税ですが、所得の金額は年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて求めます。65歳以上で年金の収入金額が330万円未満の場合公的年金等控除額は120万円ですので、夫の所得金額は、200万円−120万円=80万円、妻の所得金額は、120万円−120万円=0円となります。妻は所得金額が0ですので税金はかかりません。夫は次に所得控除の金額を差し引きます。基礎控除が38万円で、配偶者控除が38万円(妻が70歳以上の場合は48万円)になります。社会保険料控除が仮に13.5万円として、その他の所得控除はないものとします。夫の課税される所得金額はこれらを引いて、80万円−(38万円+38万円+13.5万円)=△9.5万円≦0 ∴0円となり夫も所得税がかかりません。

 住民税の所得割の計算も基本的に同様ですが、基礎控除、配偶者控除が33万円(妻が70歳以上の場合の配偶者控除は38万円)になります。上記の例の場合住民税については課税される所得金額が発生しますが合計所得金額が扶養家族の有無別にそれぞれ一定の金額以下の場合には所得割がかかりません。また、同様に合計所得金額が一定の金額以下に該当する上記の例の場合には均等割もかかりません。

社会保険料の負担

 一方、社会保険料である国民健康保険料と介護保険料の負担はいくらくらいになるか見てみましょう。これらの保険料は住んでいる地域によって異なりますが、例として筆者の住んでいる横浜市の場合で計算してみます。条件は上記の税金の例と同じとします。平成30年度の国民健康保険料は世帯で年86,890円となり、同じく介護保険料は夫が48,360円、妻が29,760円となります。世帯の合計額は165,010円となります。税金が0であるのに比べるとかなり大きな負担額と感じるのではないでしょうか。これらの保険料は総所得金額等によって変わってきます。国民健康保険料のうち均等割は所得金額によって減額があり、上記の例は5割、43,660円の減額を受けた後の金額です。所得金額が増えるとこの減額が縮小又はなくなりますので所得金額によっては急に保険料の負担割合が増えることになります。介護保険料は市民税の課税非課税の別、所得金額などによって段階的に保険料が決められています。

 地域や年度によってこれらの保険料の計算方法や料率が異なりますので住んでいる自治体のホームページなどで予想される年金額を基に一度試算をしてみることをお勧めします。また、同時に住民税の試算もされてみるとよいと思いますが、その際夫の社会保険料控除に妻の介護保険料は含めないように注意してください。

犬山 忠宏

【いぬやま ただひろ】

1959年生まれ。神奈川県藤沢市出身。犬山忠宏税理士事務所/FPオフィスp.1代表。機械メーカーを早期退職後税理士・FPとして独立。税務だけでなく企業の経理から個人の家計管理、資産運用まで幅広くトータルなアドバイスを行っている。

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