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確定拠出年金の受給方法―年金の場合(犬山忠宏)

2014-10-17

確定拠出年金の受給方法

 平成13年に導入された確定拠出年金制度ですが導入から約13年が経過し、受給開始を迎えられる方が今後増えてくるものと予想されます。確定拠出年金は本人が死亡した場合には遺族が一時金を取得し、60歳に到達する前に一定の障害を負った場合には障害給付金を受給できますが、ここでは60歳に到達した場合に受給できる一般的な老齢給付金について取り上げます。

 60歳時点で確定拠出年金への加入期間が10年以上ある場合には60歳から受給することができます。10年未満の場合は年数によって受給開始年齢が引き伸ばされます。いずれの場合もその決められた受給開始年齢よりも受給開始を遅らせることができますが、遅くとも70歳になるまでに受給を開始しなければなりません。

 また、受給方法は5年以上の有期又は終身年金か一時金、もしくは年金と一時金の併用になりますが、規約等により選択できない場合もあります。今回は年金での受給についてみていきます。

年金の場合の課税関係

 確定拠出年金を年金として受給する場合その年金額は雑所得の中の公的年金等に該当し、所得金額を計算するに当たって公的年金等控除額を差し引くことができます。公的年金等控除額は年齢と公的年金等の収入金額に応じて一定の金額が決められており、その金額までは実質非課税となるため税制上優遇されています。公的年金等控除額を控除した後の雑所得の金額は、年齢と公的年金等の収入金額に応じて次の表によって計算されます。

図表:公的年金等に係る雑所得の金額

公的年金等の収入金額の合計額 所得金額(雑所得)
65歳未満 70万円以下 0
70万円超 130万円未満 年金収入-70万円
130万円以上 410万円未満 年金収入×75%-37万5千円
410万円以上 770万円未満 年金収入×85%-78万5千円
770万円以上 年金収入×95%-155万5千円
65歳以上 120万円以下 0
120万円超 330万円未満 年金収入-120万円
330万円以上 410万円未満 年金収入×75%-37万5千円
410万円以上 770万円未満 年金収入×85%-78万5千円
770万円以上 年金収入×95%-155万5千円

税制上有利な受給方法

 上記の表からわかるように公的年金等に係る雑所得の金額は、公的年金等の収入金額のうち所得金額になる率が段階的に変化します。ここでその率のことを便宜的に「所得率」と呼ぶことにします。「所得率」が0%ということはその部分の収入金額に対して所得金額が0となることを表します。「所得率」が100%ならその部分の収入金額はすべて所得金額になるということです。公的年金等の収入金額と「所得率」の関係をグラフに表わすと次のようになります。(公的年金等の収入金額の範囲は一般的に多い500万円までとしています。)たとえば、65歳未満で公的年金等の収入金額が100万円の場合、70万円までの部分は「所得率」が0%、70万円を超えて100万円までの30万円の部分は「所得率」が100%になるというように読み取ってください。

図表:公的年金等の収入金額と「所得率」(65歳未満)

図表:公的年金等の収入金額と「所得率」(65歳以上)

 ここで注意しなければいけないのは公的年金等の収入金額には確定拠出年金だけでなく、国民年金や厚生年金の老齢基礎年金や老齢厚生年金なども含まれるということです。確定拠出年金の受給方法を検討するには、確定拠出年金以外の公的年金等の受給がいくらあるかということが重要になってきます。

 現在、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が61歳に引き上げられ、今後段階的に65歳まで引き上げられます。60歳から65歳までの間に確定拠出年金以外の公的年金等の受給がなければ、60歳から確定拠出年金の受給を開始することが有利となります。この間、70万円まで「所得率」は0%ですので70万円までの受給は所得が0となります。また、他の公的年金等の受給額が130万円以上あり、確定拠出年金と他の公的年金等の受給額の合計額が130万円以上330万円未満の区分に入る場合は、この区分に入る収入金額に対する「所得率」が65歳以上では100%であるのに対して、65歳未満では75%となりますので、この場合も60歳から確定拠出年金の受給を開始した方が有利となります。

 実際には、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢とその受給額、確定拠出年金の想定受給総額、その他公的年金等の受給額、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額、所得控除額などの条件によって、確定拠出年金の受給開始年齢とその受給額の有利判定は異なってきます。ライフプランとも合わせて十分な試算を行ったうえで確定拠出年金の受給開始年齢と受給額(受給期間)を決定されることをお勧めします。

犬山 忠宏

【いぬやま ただひろ】

1959年生まれ。神奈川県藤沢市出身。犬山忠宏税理士事務所/FPオフィスp.1代表。機械メーカーを早期退職後税理士・FPとして独立。税務だけでなく企業の経理から個人の家計管理、資産運用まで幅広くトータルなアドバイスを行っている。

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