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長期的視点に立った「非財務情報」の重要性(阿部重利)

2015-10-02

CSVとは?、CRSVとは?

 最近、弊社の主なお客様である中小企業でも、社会的な課題を解決するための活動をしながら企業の利益も向上させようという、新たな取組みをする事業者が増えてきました。

 この「社会価値と企業価値を両立させる経営フレームワーク」のことを「共有価値の創造[または、共通価値の創造](CSV:Creating Shared Value)」と言い、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱したものです。さらに、CSVを持続的に行い、事業を継続させていく経営手法は、「CRSV(Creating and Realizing Shared Value)」と呼ばれ、注目されつつあります。

 今後は、これまで社会貢献の色が強かった「企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)」から、社会がよくなることで企業も成長していく「CRSV」への転換が、拡がっていくものと思われます。

非財務情報とは?

 企業を分析する場合、この「CSV」や「CRSV」などといった考え方は、バランスシート、損益計算書、キャッシュフロー等の「財務情報」とは一線を画す「非財務情報」と言っていいでしょう。

 筆者は、グローバル化・複雑化していくこれからの世界経済にあって、(財務情報は従前通りですが)今後は益々このような「非財務情報」が重要視されてくると考えています。

 例えば、「環境(Environment)、社会(Society)、企業統治(Governance)」に関する取組みであるESG情報もその一つであり、特にこの分野で先行している欧州では、ESGをものさしに使った投資は長期的リスクを低減するという認識が投資家に浸透しています。

長期的スタンスに立った経営と投資

 アメリカのヒラリークリントンが、株式市場の短期志向を「四半期資本主義」と名付け批判した話は有名ですが、(必ずしも短期志向が悪いとは言わないものの)あまりにも近視眼的に評価してしまうことで、企業本来のポテンシャルを見る目を誤ってしまっては本末転倒になります。まして、日本における最近の外国人持ち株比率の上昇等を考えると、情報開示における「非財務情報」重視という世界的な潮流をこれまで以上に意識する必要もあると思います。

 そういう意味において、今後、企業側には定量的な情報開示のみならず的確な「非財務情報」の開示を、投資家側には投資の原点に回帰し、長期的スタンスで企業をみるためにも、これまで同様「財務情報」に加えて、「非財務情報」を効率的に読み解くリテラシーを望みたいものです。

 結果として、今後日本でも、持続的な発展への貢献に価値を見い出すステークホルダーが増え、CSVやESGなど「非財務情報」にも配慮した「経営」や「投資」がクローズアップされるものと思います。

阿部 重利

【あべ しげとし】

経済産業省認定 経営革新等支援機関 ヒューマネコンサルティング株式会社
代表取締役

保有資格:
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、CFP(R)、金融知力普及協会認定金融知力インストラクタ−、DCアドバイザー、年金・退職金総合アドバイザー、心理カウンセラー、ワークライフバランスコンサルタント

金融機関での実務経験を生かし、経営顧問・コンサルティング活動の傍ら、全国各地で講演会をはじめ、年約150本の企業研修、講演会、セミナー、などを精力的にこなしている。そのパワフルでユーモア感のある語り口と説得力は各方面から好評を得ており、これまでコンサルティングや研修、講演を受けた企業人の知識やモチベーション・スキルアップに大きく貢献している。
著作に、『実践 ワーク・ライフ・ハピネス2〜成功する会社は仕事が楽しい〜』(万来舎)、『働き方が変わる!会社が変わる! 実践ワーク・ライフ・ハピネス』(万来舎)、『コモディティ投資入門』(アスペクト社)、ほか、『フィナンシャル・アドバイザー』誌(近代セールス社)、『ファイナンシャル・プラン』誌(きんざい)等多数。

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