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2016年のIPO市場を占う(阿部重利)

2016-03-04

IPO市場注目の理由

 筆者は年初からの経済展望セミナーの中で、例年、新規株式公開(ベンチャー企業などが証券取引所に株式を上場すること=IPOとも言います)数についても言及しています。

 それは、“発行市場と流通市場は有機的に関係”していて、流通市場を占う意味でも、さらには経済の活力を図る目安としても新規株式公開(IPO)の数について注目しているからです。

過去のトレンドは?

 筆者の調べでは、(以下数字はプロ向け市場等を除いたもので、カウントの仕方によって若干違いが出ますので、あくまで目途(約)と考えて下さい)2000年の204社をピークに、

2005年 158社
2006年 188社
2007年 121社
2008年 49社
2009年 19社
2010年 22社
2011年 37社
2012年 46社
2013年 57社
2014年 78社
2015年 92社

といったところだと思います。

 これを見ると、リーマンショック直後の09年の19社を大底に徐々に増えて来たのがわかります。それでは、今年はこのトレンドを維持して100社以上になるか!?というと、「そう簡単な話ではないのでは!?」と考えています。

懸念材料

 筆者、IPO市場への懸念材料として、

(1)新規公開後の信頼失墜
昨年一部の企業で、新規公開直後に元役員による不正送金疑惑から過年度決算訂正が起き、(一部ではあるものの)IPO市場への動揺が広がりました。

(2)好循環の崩れ
最近では、新規公開した銘柄の値動きを示すQUICK IPO インデックスの方が日経平均株価の下落率を大きく上回っており、IPO株を保有している投資家が含み損を抱えるケースも多いようです。よって、これまでIPO株式の値上がりで資産を増やした投資家が次の企業に投資するという好循環が崩れつつあるようです。

(3)世界経済減速懸念
年初からのマーケットの混乱にも表されるように、今後世界景気が減速に向かうようであれば、IPOを目指す企業の収益悪化にも繋がりますし、なんといっても冒頭説明したように「流通市場」に大きく陰りが出ることはやむを得ないでしょう。となれば、IPO数にも少なからず影響があるものと思われます。

などと考えています。

 というわけで、2016年のIPO市場にとって、過去のトレンド通りの数を維持するには、内部・外部要因を踏まえるとなかなか厳しい環境ではないかと考えています。

 これを打破するには、まさにイノベーティブなビジネスシーズを持ったベンチャーが「志」を伴って上場(を目指)し、それを支援するステークホルダーともども「ハピネス」を追求することに尽きるのかもしれません。

阿部 重利

【あべ しげとし】

経済産業省認定 経営革新等支援機関 ヒューマネコンサルティング株式会社
代表取締役

保有資格:
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、CFP(R)、金融知力普及協会認定金融知力インストラクタ−、DCアドバイザー、年金・退職金総合アドバイザー、心理カウンセラー、ワークライフバランスコンサルタント

金融機関での実務経験を生かし、経営顧問・コンサルティング活動の傍ら、全国各地で講演会をはじめ、年約150本の企業研修、講演会、セミナー、などを精力的にこなしている。そのパワフルでユーモア感のある語り口と説得力は各方面から好評を得ており、これまでコンサルティングや研修、講演を受けた企業人の知識やモチベーション・スキルアップに大きく貢献している。
著作に、『実践 ワーク・ライフ・ハピネス2〜成功する会社は仕事が楽しい〜』(万来舎)、『働き方が変わる!会社が変わる! 実践ワーク・ライフ・ハピネス』(万来舎)、『コモディティ投資入門』(アスペクト社)、ほか、『フィナンシャル・アドバイザー』誌(近代セールス社)、『ファイナンシャル・プラン』誌(きんざい)等多数。

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