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給与と年金、両方ある人の確定申告(犬山忠宏)

2016-04-15

給与、年金の確定申告不要制度

 近年の定年延長や再雇用の義務化の流れに伴って、給与と年金(公的年金等)の両方の収入がある人も増えています。給与と年金のそれぞれの収入をメインとしている人には、それぞれ確定申告が不要となる制度があります。給与と年金の両方の収入がある方は、自分が確定申告をしなければいけないのか、しなくてもよいがした方がよいのかなどわかりにくいことも多いと思います。今回は給与と年金の両方の収入がある人の確定申告について整理してみたいと思います。

 まず、給与所得がある居住者についての確定申告を不要とする制度があります。二か所以上から給与等の支払を受けている場合には別途規程がありますが、ここでは一か所から給与等の支払を受けている場合について見ていきます。その年において、給与等の金額が2,000万円以下で、給与等の全部について年末調整を受けた場合において、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合には確定申告は不要です。(同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている場合などを除きます。)

 一方、年金の収入がある居住者についての確定申告を不要とする制度もあります。その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、その公的年金等の全部について源泉徴収がされている場合において、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合には確定申告は不要です。(外国の法令に基づく保険や共済制度などの年金を受ける場合などを除きます。)

申告義務のある人

 それでは、給与と年金の両方の収入がある場合に確定申告をしなければいけないのはどのような場合でしょうか。ここでは給与と年金以外の所得がない前提とします。まず、(1)給与等の金額が2,000万円超または年金の収入金額が400万円超の場合には確定申告をしなければなりません。

 (2)給与等の金額が2,000万円以下の場合、公的年金等に係る雑所得の金額が20万円超であれば確定申告が必要になります。公的年金等に係る雑所得の金額とは、「公的年金等の収入金額−公的年金等控除額」で計算されます。公的年金等控除額は、公的年金等の収入金額に応じて一定の算式で計算されますが、65歳未満と65歳以上で異なります。65歳未満の場合、公的年金等の収入金額が130万円以下では公的年金等控除額は一律70万円となります。したがって、公的年金等の収入金額が90万円を超えると公的年金等に係る雑所得の金額は20万円を超えます。65歳以上の場合、公的年金等の収入金額が330万円以下では公的年金等控除額は一律120万円となります。したがって、公的年金等の収入金額が140万円を超えると公的年金等に係る雑所得の金額は20万円を超えることになります。

 一方、(3)公的年金等の収入金額が400万円以下の場合、給与所得の金額が20万円超であれば確定申告が必要になります。給与所得の金額は、「給与等の収入金額−給与所得控除額」で計算されます。給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて一定の算式で計算されますが、給与等の収入金額が162万5千円以下の場合一律65万円となります。したがって、給与等の収入金額が85万円を超えると給与所得の金額は20万円を超えます。

 上記(2)及び(3)から、給与等の金額が2,000万円以下で、かつ、公的年金等の収入金額が400万円以下の場合に確定申告が必要となるのは、給与等の収入金額が85万円超、かつ、公的年金等の収入金額が90万円超(65歳以上の場合には140万円超)の場合となります。

申告義務のない人とその注意点

 前述の申告義務のある人に該当しない場合は確定申告をする必要はありません。しかし、源泉徴収税額がある場合には確定申告をすることで源泉徴収税額の還付を受けることができる場合があります。医療費控除など年末調整や年金の源泉徴収で反映されていない所得控除を受ける場合などが該当します。しかし、申告することで逆に納付税額が発生してしまう場合もあるため実際に還付を受けられるか計算をしてみる必要があります。国税庁のHPの確定申告書等作成コーナーで申告書が作成できますので利用すると便利です。

 一方、住民税には上記の「給与、年金の確定申告不要制度」に記載したような制度がありませんので、給与所得控除額65万円を超える給与収入と公的年金等控除額70万円(65歳以上の場合は120万円)を超える公的年金等の収入金額がある場合には原則として申告が必要になります。詳しくはお住いの市区町村にお尋ねください。なお、確定申告をした場合には住民税の申告は必要ありません。

犬山 忠宏

【いぬやま ただひろ】

1959年生まれ。神奈川県藤沢市出身。犬山忠宏税理士事務所/FPオフィスp.1代表。機械メーカーを早期退職後税理士・FPとして独立。税務だけでなく企業の経理から個人の家計管理、資産運用まで幅広くトータルなアドバイスを行っている。

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